開咬の歯科矯正治療例
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開咬(前歯が開く)の症状について
上下の歯を咬み合わせた際に奥歯は咬み合っている状態で、前歯に隙間ができる歯並びを「開咬(かいこう)」といいます。前歯が咬み合わないため、正常な咀嚼ができず奥歯や顎関節、胃腸などの消化器官に負担がかかってしまいます。さらに、発音や滑舌が上手く行えず、コミュニケーションにも悪影響が及ぶなど、さまざまな問題が懸念される状態です。
開咬(前歯が開く)の原因について
歯並びや咬み合わせの乱れには、さまざまな原因が存在します。開咬になる主な原因については、以下の4つがございます。
幼少期からの悪癖・悪習慣
小さい頃の指しゃぶりや頬杖をはじめ、舌で前歯を押したり、前歯で舌を噛んだりする癖や習慣によって上下の咬み合わせ・歯並びが乱れ、開咬になる場合があります。
慢性的な口呼吸
呼吸器官系の疾患(蓄膿症・鼻炎・扁桃腺肥大など)が原因で鼻が詰まると、慢性的な口呼吸となり、お口周りの筋肉のバランスが乱れることによって開咬になりやすくなります。
遺伝による顎の形態など
歯並びや咬み合わせは遺伝の影響を受けやすい傾向があります。そのため、遺伝によって生まれつき顎の形態に問題があると、成長に伴い開咬の症状が悪化する場合もあります。
舌小帯短縮症(舌の筋が短い)
舌の裏側にある筋が短い舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたいしゅくしょう)の場合には、舌の可動域が制限されるため、口腔周囲筋のバランスが崩れて開咬になりやすくなります。
開咬(前歯が開く)の改善は難しい
開咬は、さまざまある不正咬合(悪い歯並び・咬み合わせ)の中でも悪癖などの環境的な原因が大きく影響するといわれています。そのため、歯並びや咬み合わせの調整と共に悪癖や悪習慣の改善も行わなければ、根本的な問題を解決することができません。しかし、小さい頃からの癖や習慣は簡単に改善できないため、一般的に開咬の矯正治療は期間が長くなる傾向があります。
開咬(前歯が開く)のリスクのついて
奥歯の喪失リスク・顎関節リスクが高くなる
開咬は前歯が咬み合わないため、奥歯の使用頻度が高くなります。
そのため、顎関節や奥歯への負担が大きくなり、顎関節症リスクや奥歯の補綴物の脱離・奥歯の喪失リスクが高まります。
胃腸障害
前歯で食べ物を噛みきることができないため、十分な咀嚼が行われないまま食べ物を飲み込むのが習慣となり、消化器官に大きな負担がかかります。
慢性的に胃腸に負荷がかかるため、胃腸障害を引き起こしやすくなります。
発音・滑舌がしづらい
上下の前歯に常に隙間があるため、空気が漏れて正確な発音や滑舌が困難となります。
中でもサ行(ザ行)・タ行の発音に支障が出やすく、コミュニケーションにも悪影響を及ぼす可能性があります。
虫歯や歯周病になりやすい
唇を閉じにくく、お口が開いたままになりがちな開咬は口腔内が乾燥しやすくなります。
そうなると唾液の分泌量が減少して細菌が繁殖するため、口臭の発生をはじめ、虫歯や歯周病リスクが高くなります。
ウィルス性の疾患にかかりやすい
鼻呼吸では、体内へウィルスや細菌を取り込まないように鼻毛や粘膜がフィルターの役割を果たしています。
しかし、口呼吸になりがちな開咬は体内にそのままウィルスや細菌を取り込んでしまうため、風邪やインフルエンザなどの疾患に罹りやすくなります。
開咬(前歯が開く)の基本的な治療法
基本的には、ワイヤー矯正やマウスピース型の矯正装置を用いて、適切な歯並びや咬み合わせへと改善していきます。さらに、矯正後の歯列を安定させるため、通常の矯正治療と並行して筋機能療法を行い、舌の位置やその他の悪癖を正していきます。
開咬(前歯が開く)の矯正治療期間について
開咬の方は、叢生や上顎前突などの不正咬合と複合している場合が多く、さらに悪癖や悪習慣の改善も並行して行うことになるため、矯正期間は比較的長期となります。抜歯の有無や症例の状態で多少の変動がありますが、2年~2年半が治療期間の目安となります。また、開咬の矯正治療後は歯の後戻りを防止するため、リテーナーを使用して歯の保定を行います。(※悪癖が改善されていない場合には、半年~1年程治療期間が延長する場合もあります。)
開咬(前歯が開く)の治療例(Before&After)と解説
開咬(前歯が開く)の矯正治療例(30代男性・治療期間2年5ヵ月)
年齢・性別 | 30代男性 |
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治療期間 | 2年5ヵ月 |
抜歯 | なし |
治療費 | 1,045,000円(税込) |
リスク・注意点 | ・矯正治療後は保定をしなければ後戻りする可能性がある ・歯の移動に伴う痛みを感じる場合がある など |
備考 | 顎関節症 |
30代の男性です。奥歯しか噛み合わないことを気にされて来院されました。分析の結果、非抜歯にて治療を行いました。奥歯のみでしか噛み合っていないだけでなく、かみ合わせが受け口気味になっていること、顎の関節に痛みがあることなど、見た目以上に機能的な問題点が多く、初診時はかなり日常生活に支障をきたしていました。
下顎の奥歯から後ろに下げることによって、受け口の傾向をなおしつつ、マルチループというワイヤ―を用いて、1本ずつ噛みこむように治療を行いました。治療途中から顎の痛みが改善し、前歯で物が噛み切れるようになり、日常生活を送りやすくなったと大変喜んでいただけました。
武蔵小山で開咬の矯正治療をご検討中の方は無料相談へ
武蔵小山KT矯正歯科では、矯正担当医が開咬(前歯が開く)の矯正治療を実施いたします。当院では、患者さまが理解を深め、矯正治療に専念していただけるよう、口腔内写真撮影・レントゲン写真撮影・3Dシミュレーションによる歯の動きの確認を含む矯正無料相談やセカンドオピニオンを実施しております。患者さまに適した装置をはじめ、費用や治療期間についても詳しくご説明いたしますので、武蔵小山にて開咬(前歯が開く)の矯正治療をご検討中の方はぜひ、当院までお気軽にご相談ください。